COLUMN

おすすめキーワードコラム

医療機器解体・撤去のプロ > コラム > 医療機器の下取りと関連する法律|商談成立までの流れも詳しく解説!

医療機器の下取りと関連する法律|商談成立までの流れも詳しく解説!

病院やクリニックが医療機器を買い替えようとする場合、今まで使用してきた医療機器が不要となります。医療機器の廃棄コストを抑えるために下取り・買取サービスの利用を考える方は多いですが、法律上の問題について不安を感じている方もいるでしょう。

そこで当記事では、医療機器を下取りへ出す際に理解しておきたい法律上の問題について、解説します。さらに、下取りに出す際の流れや確認事項についても紹介するため、現在医療機器の処分を検討中の方はぜひご覧ください。

1.医療機器下取りに関連する法律

医療機器の下取り・買取に関連する法律としては、以下の2つが挙げられます。

  • ●廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
  • ●医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)

ただし、これらの法律は医療機器を下取りに出す方に関連するものではなく、買取る側を規制するものとなります。

廃棄物処理法では、下取りについて明確な定義づけが行われていません。しかし、環境省通知では、医療機器など産業廃棄物の下取りについて、以下のように規定されています。

新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること

(引用:環境省「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」

以上の規定により、中古医療機器の下取りについては、産業廃棄物収集運搬業ではない業者であっても問題ありません。また、下取りとして認められる具体的な要件としては、以下のものがあります。

  • ●使用済み製品の引き取りは、新しい製品を販売する際に行われること
  • ●新しい製品と使用済みの製品は同種の製品であること
  • ●使用済み製品は無償で引き取り、取引明細に下取り料金に類する項目がないこと

一方、薬機法第65条では、条文で規定されている8つの禁止事項に該当する医療機器の販売・貸与などを禁止しています。代表的な規定をまとめると次の通りです。

  • ●薬機法で基準が定められたものでありながら、基準に適合していない医療機器
  • ●全部または一部が不潔な物質や変質した物質から成っている医療機器
  • ●異物混入や病原微生物が付着した感染性廃棄物など、使用することで保健衛生上の危険がある医療機器

薬機法で禁止されている医療機器を販売・貸与することは違法です。そのため、医療機器の買取業者や販売業者は、薬機法の定めに従って営業活動を行っています。
コンプライアンスを重視した医療機器の下取りを求める方は、薬機法などの規定に順守した下取り・買取業者を選ぶようにしましょう

2.医療機器を下取りに出す際の流れ

不要となった医療機器を下取りに出す際は、全体の流れを把握しておくことで、手続きをスムーズに行えます。また、買取業者を適切に選ぶことで、より有利に不要な医療機器の処分が可能です。
ここでは、医療機器を下取り・買取に出す際の基本的な流れについて、4つの段階に分けて説明します。

2-1.①買取業者の選定

最初に、下取りしてもらう買取業者の選定を行います。医療機器の買取を行う業者は数多く存在しており、業者によって査定方法や買取対象機器は様々です。

医療機器の買取業者を探す際は、「地元の企業を調べるか」「インターネットを利用するか」の2通りがあります。
より有利な条件で下取りに出すためには、インターネットを利用する方法がおすすめです。インターネットサイトで営業している買取業者は対応する医療機器の幅が広く、査定価格も高くなる傾向があります

買取業者の選定時には、以下の点にも着目してください。

  • ●下取りする医療機器の製造事業者に、販売通知を行っていること
  • ●医療機器に患者情報が記録されていないか確認するなど、廃棄IT資産の管理がしっかりしていること

医療機器下取り後のトラブルを避けるために、これらの事柄に問題がある業者を選ぶことは避けましょう。

2-2.②査定申し込み

買取業者の選定を行った後は、査定申し込みを行います。医療機器の情報を買取業者に伝えなければならないため、以下の情報を事前に用意しておきましょう。

  • ●機器モデル名
  • ●メーカー名
  • ●型番
  • ●年式
  • ●製造年月

医療機器の基本情報は、機器本体のどこかにラベリングされています。小型・中型医療機器はシール、大型医療機器は金属製の銘板に記載されていることが多いです。その他に、機器の購入年月と現在の動作状態、説明書など付属品の有無も調べておくと、後の査定がよりスムーズに行えます

医療機器の下取り査定は、WEBページの専用フォームに必要事項を記入するか、申込用紙をダウンロードして、必要事項の記入を行い郵送する方法が一般的です。

2-3.③査定と買取価格の仮決定

査定申し込みで入力した医療機器の情報を元に買取業者が査定を行い、おおよその買取価格が決定されます。この段階で出される買取価格は仮決定であり、確定価格ではありません。そのため、実際の買取価格と査定価格に差が生じる場合があります。買取価格と査定価格に差が生じる代表的な例は、次の通りです。

  • ●大きな傷や不具合があった場合
  • ●前回の査定から1ヶ月以上の期間が空いてしまった場合

査定価格と買取価格の差が生じないように、査定申し込みの段階で医療機器の状態を正確に伝えましょう。また、査定価格に納得した際は、できるだけ早くに売却への手続きに進むことが、買取価格下落を防ぐポイントです。

2-4.④最終買取価格の決定

最終買取価格の決定に際しては、現地で実物のチェックによる査定が行われます。実物査定による買取価格に、お客さんが納得することによって商談は成立です。
医療機器の売却に際しては、売買契約書を作成するため、以下の2つを準備しておきましょう。

  • ●認印
  • ●振込口座の情報が分かる書類

売買契約の成立後、医療機器の撤去・搬出を行わなければなりません。業者によっては、医療機器の撤去・搬出に要する費用を負担してもらえる場合があります。医療機器が買取業者に全て引き取られることで、下取りは完了です。

3.医療機器を下取りに出す際の確認項目

実際の医療機器下取りでは、スムーズに手順が進められない場合があります。不要な医療機器を下取りに出す際は、基本的な手順だけではなく、いくつかの注意点を確認しておかなければなりません。
ここでは、医療機器の下取りを依頼する前に確認しておくべき、項目を3つ紹介します。

3-1.リース契約の機器は契約が満了しているか

リース会社が、自社所有の医療機器を下取りに出す際は、リース契約が既に満了済みか否かは必ず確認してください。医療機器の所有権はリースアップ後だけではなく、リース期間中もリース会社にあります。しかし、リース期間中は病院に使用権があるため、無断で処分することができません。

また、リース契約を結んでいる病院が、期間終了後に再リースを希望する場合もあります。リース契約を結んでいる病院とのトラブルを防ぐためには、リース会社はリース契約が満了し、手元に医療機器が戻った段階で、下取りへの手続きを始めましょう

3-2.下取りに出す医療機器が買取対象であるか

買取業者を選定する際に、下取りに出したい医療機器が買取対象であるか否かは必ず確認しましょう。業者によっては小型や中型の医療機器が中心であり、MRIやCTスキャナーなどは買取対象ではないケースもあります。重量物である大型医療機器を下取りに出す際は、注意が必要です。

大量の医療機器を下取りに出す際も、どの程度の品数までが買取対象であるのかについて、確認しておきましょう。会社のホームページで買取対象の医療機器や対応数が載っていない場合は、メールや電話で買取ってもらえるか尋ねてください。

3-3.搬送や解体・撤去の手続きと費用はどう決まるのか

買取業者との商談が成立する前に、医療機器を撤去・搬送する手続きや費用について、必ず確認してください。買取業者によっては、医療機器の撤去や搬出の費用を負担してくれない場合もあります。

医療機器は精密な機材の集合体であるため、プロの手による作業でなければ故障なく撤去・搬出が行えません。「下取りの品数が多い」「大型医療機器がある」といった場合は、搬出費用は大きな負担です。医療機器の撤去から搬出・輸送までを全て負担してくれる買取業者であれば、安心して任せられます

まとめ

医療機器の下取りは、廃棄物処理法と薬機法が関係しています。これら2つの法律は、どちらも買取側である業者に関するものです。そのため、中古の医療機器を下取り業者へ出す側については、法律上の規制が存在しません。

下取りの流れは、4つの段階を経て行われます。下取りに出す方の主なアクションは、「買取業者の選定」と「査定申し込み」の2つです。査定申し込み後は、買取業者の査定による最終買取価格に納得することで、商談成立となります。

現在、医療機器の処分を検討している方は、手軽でコスト削減に効果的な下取りサービスの利用を検討してはいかがでしょうか。