病院が利用できる補助金は?再整備・新規開業時も活用可能
病院経営は大きな収益を得やすいと思われがちな一方、赤字となっている医療機関も珍しくありません。2018年度では、一般病院のうち36.6%が赤字経営に陥っています。
出典:独立行政法人福祉医療機構「2018年度 病院の経営状況について」
このような状況でも、病院の建て替えや再設備などで出費せざるを得ない事情があり、困っている病院経営者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、病院が利用できる補助金の種類を解説します。どのような補助金があるのか目的別に概要を確認し、目的に合った支援を活用して健全な病院経営を目指しましょう。
1.【目的別】医療提供体制施設整備交付金の種類
病院が活用できる補助金制度は多くありますが、政府が予算として確保している医療機関関連における補助金の代表的なものに「医療提供体制施設整備交付金」があります。
この補助金の目的は、以下のとおりです。
■「医療提供体制施設整備交付金」の主な目的
- 良質で適切かつ効率的な医療を提供する体制の整備
- 患者の療養環境や医療従事者の職場環境の改善
- 医療従事者の養成
この補助金は、各都道府県が管轄する自治体において医療体制の整備に必要な事業を選び、作成・提出した事業計画書をもとに政府が審査したうえで交付決定されます。
自分の病院が必要とする事業が補助金の目的に沿うものであれば、都道府県のほうに要望を出すなど、予算の確保に動いてもらうことも大切です。
医療提供体制施設整備交付金の予算額は、年度によって変動し、都道府県によっても交付される金額が異なります。交付金の動向を戦略的に読み取ることが重要です。
■平成28年度~平成30年度の予算額の推移(単位:百万円)
当初予算 補正予算 合計 平成28年度 2,545 2,995 5,540 平成29年度 2,545 2,545 平成30年度 3,242 3,242
ここでは、目的別に利用できる補助金の種類を、事例も含めて解説します。
1-1.病院の建て替え・再整備で利用できる補助金
【事例1】既存の病院の建物について、耐震性が低いため建て替えたいケース
既存の病院建物に耐震化整備を行う場合、次のような事業区分で交付される医療提供体制施設整備交付金を利用できる可能性があります。
■該当する事業区分
医療施設等耐震整備事業 | 地震が発生したときに医療提供体制が維持できるよう、医療施設などの耐震化整備を補助する |
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地震防災対策医療施設耐震整備事業 | 医療施設を耐震化整備したり補強したりすることで、地震や土砂災害を防止することを目的とした補助 |
【事例2】建物の老朽化によって、建て替えや改修が必要なケース
建物の老朽化により建て替えや改修が必要な場合は「医療施設近代化施設整備事業」の支援対象となる可能性があります。
病院での患者の療養環境・医療スタッフの職場環境・衛生環境を改善したい方や、病院を継承する際に新築したい方、増改築したい方は申請を検討してみましょう。
1-2.病院の経営に合わせて利用できる補助金
病院を経営していると、世の中の流れやニーズに合わせて、経営方針や経営理念を修正・変更することもあります。病院の経営方針や経営理念を実現するために行いたいことが、医療提供体制施設整備交付金の事業区分に該当している場合、補助金申請ができる可能性があるため検討してみましょう。
【事例1】環境に優しい病院を目指したい
環境に優しい医療提供施設の設備を整えたい場合、医療提供体制施設整備交付金の「地球温暖化対策施設整備事業」での補助金が利用できる可能性があります。
ただし、院内設備の整備にかかる費用の全てを補助金で賄えるわけではないため、自己負担額とのバランスを確認することが大切です。
【事例2】地域密着型の病院を目指したい
地域の医療機関と密接に連携したり、適切に機能を分担したりするために、共同利用施設を作りたい・拡充整備したい病院もあるでしょう。
この場合、「共同利用施設施設整備事業」で申請すると、補助金が交付される可能性があります。
1-3.病院の機能強化に利用できる補助金
既存の病院に新しい診療機能をつけ足したり、現存する機能を強化したりする場合、次のような事業区分で医療提供体制施設整備交付金が利用できる可能性があります。
【事例】手術機能や救急機能を強化したい
休日夜間急患センター施設整備事業 | 休日や夜間に診察・治療を行う急患センターの設立・整備への補助 |
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救命救急センター施設整備事業 | 重篤な症状の救急患者に対する医療を確保する目的で設立・整備される、救命救急センターへの補助 |
病院郡輪番制病院及び共同利用型病院施設整備事業 | 休日や夜間に生じた重症救急患者に対する医療を確保するために行われる、病院郡輪番制病院や共同型利用病院の施設整備に関する補助 |
2.新規開業時・病院経営時に活用できる補助金
病院経営者が利用できる補助金には「医療提供体制施設整備交付金」以外にも複数あります。ここでは、医療機関向けではないものの、病院やクリニック(診療所)を運営する医師などが利用できる3つの補助金について解説します。
それぞれの補助金における事業者向け情報をチェックし、自分が申請できる補助金や給付額を確認しましょう。
2-1.IT導入補助金
IT導入補助金とは、業務上でのニーズや課題に合ったITツールを、民間医療機関を含む中小企業や小規模事業者の方が導入する場合に交付される補助金です。支給条件は以下のとおりとなります。
■IT導入補助金・通常枠(A、B類型)の支給条件
補助対象
- 医療法人や社会福祉法人…常勤の従業員300名以上
- 小規模事業者…常勤の従業員5名以下
補助対象となる経費
- ソフトウエア費
- IT導入関連費など
補助金の下限・上限
- 【A類型の場合】30万~150万円未満
- 【B類型の場合】150万~450万円
補助率 2分の1以下
2-2.キャリアアップ助成金「正社員化コース」
「優秀なパートスタッフを正規雇用したいが人件費が足りない」などといった場合のサポートの1つに、キャリアアップ助成金「正社員化コース」が挙げられます。
■キャリアアップ助成金「正社員化コース」の該当労働者1人当たりの助成額
①有期雇用→正規雇用 通常 生産性の向上が認められる場合 中小企業 57万円 72万円 中小企業以外 42万7,500円 54万円
②有期雇用→無期雇用 通常 生産性の向上が認められる場合 中小企業 28万5,000円 36万円 中小企業以外 21万3,750円 27万円
③無期雇用→正規雇用 通常 生産性の向上が認められる場合 中小企業 28万5,000円 36万円 中小企業以外 21万3,750円 27万円
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の支援制度を受けるためには、対象となる労働者・事業主(申請者)ともにさまざまな要件を満たす必要があります。詳細な受給条件を確認したうえで、申請手続きを行いましょう。
2-3.トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
就職していない期間が長い方や転職回数の多い方を中心に、トライアル期間を設けて適性や業務の遂行力を見極めたうえで、雇用したい場合もあるでしょう。医療機関では、出産や育児、介護などで長く離職していた方が該当するケースが多く見られます。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、トライアル雇用(原則3ヶ月間)終了後に、無期の常用雇用契約を締結した場合に支給される助成金です。一人親家庭の父または母の場合は月額最大5万円、それ以外の方の場合は月額最大4万円(最長3ヶ月間)が支給されます。
出典:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
厚生労働省のサイトなどで詳細を確認して手続きを行い、費用負担を軽減しながら雇用拡大を目指しましょう。
3.病院の再建に伴う医療機器の解体・撤去は「タケメディカル」
病院の再整備や建て替えなどを行うと、医療機器の解体や撤去が必要となるケースもあります。解体や撤去をする場合、高い解体費用や処分費用がかかることも珍しくありません。
医療機器の処分にかかるコストを抑えたいと考えている方は、次のような強みがあるタケメディカルに相談することをおすすめします。
■タケメディカルの強み・利用するメリット
- 大阪を拠点に全国対応している
- 見積もりが無料かつ対応も迅速で、リーズナブルに解体・撤去ができる
- 机や椅子など、医療機器以外もまとめて撤去できる
- 買い取りが可能な機種があれば、撤去費用と相殺できる場合がある
長く使用した医療機器を処分したい場合は、医療機器解体・撤去のプロであるタケメディカルに問い合わせてください。
まとめ
ここまで、病院が利用できる補助金の種類に関して、目的別に利用できる補助金の種類を解説しました。
病院を新規開業・経営する際に助成金や補助金などの支援策を利用することは、重要な経営戦略の1つです。自分の病院やクリニックの運営に合った補助金を選び、健全で無理のない病院経営を目指しましょう。
医療設備を処分する必要がある場合は、処分コストを抑えられるタケメディカルの利用がおすすめです。多くの手間や費用をかけずに医療機器の処分を行い、新たな施設・機器の検討に時間や費用がかけられるようにしましょう。