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病院を閉院する際の医療機器の処分方法とおすすめの処分法を紹介

病院や診療所の閉院に向けて、多忙となる前に医療機器の処分の方法や注意点についての知識を得ておくことが大切です。しかし、医療機器や病院設備の処分はどうしようかと頭を悩ませている経営者の方も中にはいるのではないでしょうか。

今回は、医療機器や病院の設備用品の処分について、どのような処分方法があるのか、買い取りできる医療機器はどんなものがあるのか、医療機器を処分するときの注意点などについて説明します。閉院の業務をスムーズにするために、ぜひ参考にしてください。

1.閉院時の医療機器の処分方法

病院を閉院する際の医療機器の処分については、いくつかの方法があります。
診療に使用していた医療機器は、血液や有害物質が付着している可能性があり危険なため、大型ゴミとして一般のゴミと一緒に出すことはできません。
ここからは、閉院時の医療機器の主な3つの処分方法を、それぞれ詳しくご紹介します。

1-1.専門の業者に依頼して処分する

医療機器を処分するためには、専門の医療機器廃棄業者に連絡して処分します。ご存知の通り医療機器は、気軽に自分で処分できるものではありません。

古かったり新たには使用できなかったりする医療機器など、買い取りができないものに関しては、産業廃棄物処理業者に依頼して廃棄費用を支払って処分することとなります。
どこの業者が良いか業者選びに困ったときには、管轄保健所か自治体の役所に問い合わせてみるのも良いでしょう。

また、トラブルを避けるためにも、廃棄する際は医療機器を処分した旨を記した証明書を発行してもらい、確実に最後まで責任を持って請け負ってくれる業者に依頼しましょう。
注射針などの医療廃棄物は、これまで取引のあった業者に最後まで処理を依頼し、確実に処分することが大切です。

1-2.別の医師に医療機器を継承する

現在、使用している医療機器がリースの場合は、リース会社に連絡を取り契約を解除して、必要時残りの期間の精算をする必要があります。
リースではなく自己所有している場合は、別のクリニックの医師や医療法人に引き継ぐことが可能です。その際、有償で引き継ぐのか、無償で引き継ぐのかを双方で決めておく必要があります。

別の医師に医療機器を引き継ぐ際は、2つの注意点があります。

まず1つは、「製造メーカーへの連絡」です。
薬事法施行規則第170条には、以下のように記載されています。

第百七十条 高度管理医療機器等の販売業者等は、使用された医療機器を他に販売し、授 与し、又は賃貸しようとするときは、あらかじめ、当該医療機器の製造販売業者に通知 しなければならない。
(引用:薬事法施行規則/http://www.hapi.or.jp/documentation/yakuji/pdf/310.pdf)

個人のやり取りには当てはまらないとする厚生労働省の見解、個人間のやり取りも該当するという日本医療機器産業連合会の見解のどちらも見受けられます。トラブルの回避のためにも、医療機器の継承時には製造メーカーに知らせておきましょう。

放射線装置、超音波診断装置など、メンテナンスが必要な機器に関しては、製造メーカーやメンテナンス会社に連絡し、継承後の取り決めをしておくことが重要です。

そしてもう1つが、「耐用期間」についてです。
医療機器の精度などにより、耐用期間と部品の保有期間が各製造メーカーから設定されています。この期間を過ぎた場合は、修理やメンテナンスが難しくなるという目安の期間です。耐用期間が過ぎている場合は、第三者に継承できない可能性もあるため、必ず確認しておきましょう。

1-3.医療機器の中古販売業者に買取を依頼する

まだ使用できる医療機器は、専門の中古販売会社に連絡して、買い取ってもらう方法があります。買い取り不可な医療機器や値段がつかない医療機器もあります。基本的には、新品ではないため安価な取引となることが多いです。

インターネット上には、「医療機器をまとめて高価買取・処分します」という会社がたくさんありますが、最終的にどのように処分・廃棄されたのかを証明書を発行してもらい、しっかり確認できる業者に依頼しましょう。

一般的に、医療機器の買い取りと廃棄処分は別会社に依頼するものですが、そのどちらも請け負っている会社があります。労力や時間を節約するためにも、一度見積もりを出してもらうと良いでしょう。

2.買取に対応している医療機器

買い取りに対応している医療機器には、主に以下のような機器があります。

  • ●CT・MRI・X線関連装置などの画像診断系
  • ●電子内視鏡・超音波診断装置
  • ●眼科関連機器
  • ●その他の医療機器

業者によっては、古い年式の医療機器でも開発途上国への販売ルートや得意とする診療科を持っていることがあるため、予め確認しておくと良いでしょう。

3.医療機器の処分は中古の買取業者を利用する

まだ使用して浅い年月の医療機器などは、中古の医療機器買い取り業者が対応してくれるかもしれません。
大切に使ってきた医療機器は、廃棄処分だけでなく、中古の医療機器買い取り業者に依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。

3-1.高額で売却できる場合がある

売却と処分の見極めは難しいもの。処分するしかないと考えていた医療機器も、機器の種類や状態により、売却できるものがあるかもしれません。もし時間に余裕がある場合は、中古医療機器の買い取り業者に無料査定を依頼してみても良いでしょう。

また、医療機器をできるだけ高額に買い取ってもらうためには、次のことがポイントとなります。

  • ●使用年数や現在の状態がどうか確認する
  • ●定期的にメンテナンスを行う
  • ●取れる汚れは拭き取っておく
  • ●大きな傷や取れない汚れなどダメージを確認する
  • ●各付属品が揃っているかどうか確認する
  • ●取扱説明書や添付書類があるか確認する

最も良い条件で買い取ってもらうためには、上記の基本的な項目を必ず行っておきましょう。

3-2.設備品の処分もまとめてできる

閉院するときには、エアコンやオフィス家具、個人情報が入ったパソコンなど、病院の設備品といわれるものも処分することが多いでしょう。

本来であれば、それぞれ別の関係業者へ依頼しなければなりませんが、業者により、病院の設備品についてもまとめて処分してくれるサービスを提供している会社があります。
手続きや運び出しなどもまとめて手配、処理費用もまとめて支払いが可能です。

閉院するために患者さんや職員へのフォローなどのやるべきことがたくさんある中で、医療機器や病院の設備品の廃棄や売却に労力を使うと、大切な時間の浪費にもつながってしまいます。最適な方法で、手間をかけずに処分する方法を探しましょう。

4.医療機器を廃棄処分する際の注意点

医療機器は、家庭から出る粗大ごみとして処分することはできません。医療現場で使用したものは、血液や有害物質・化学物質などを含み、地域住民や廃棄処理を担当する人々に感染や健康被害を引き起こす可能性があるからです。医療機器は、法律に定められた廃棄方法で処分する必要があるため、専門の廃棄処理業者に依頼しなければなりません。

このことは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に定められています。廃棄処分費用がかかるものの、違反すると罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。

また、業者によっては対応できない医療機器があるため、事前に確認しておき、次にどの廃棄処理業者に依頼するのか検討しなければなりません。どうしても医療機器の処分に困ったときには、地域を管轄している保健所や自治体の役所に問い合わせると良いでしょう。

まとめ

ここまで、病院を閉院する際の医療機器の処分方法と注意点、医療機器の買い取りについてご紹介しました。大切に使用してきた医療機器は、廃棄処分するだけでなく、他の医師に引き継いだり買い取ってもらい再利用したりすることができます。

また、業者により買取価格も異なります。とある業者ではそれほど高く買い取ってもらえなくても、他の業者ではさらに良い条件で買い取ってもらえたというケースも少なくありません。

このように、業者により対応する医療機器が異なるだけでなく、買取価格も異なります。医療機器の買い取りを依頼する場合は、予め確認しておきましょう。数社の見積もりを比較すると、おおよその相場も把握できるためおすすめです。