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治療院を閉院する際は何をしたらいいの?医療機器の処分方法も解説

治療院を閉院するときには、「行政機関への手続き」から「患者・スタッフへの対応」「医療機器の処分」まで、多岐にわたる手続き・対応が求められます。そのため、治療院の閉院を検討している場合は、まず手続き・対応に関する正しい知識を学びましょう。

当記事では、各種手続きから医療機器の処分まで、分かりやすく解説します。医療機器を高く買い取ってもらう方法も紹介しているため、治療院の閉院を検討している方は、ぜひご覧ください。

1.治療院を閉院するときは何から手をつければいいの?

治療院を経営していると、健康上の問題などにより、事業を継続できなくなることがあります。そして閉院時には、何から手をつければ良いのか分からなくなってしまう方も多いでしょう。

治療院を閉院・廃業するときには、下記のようなステップを踏む必要があります。

①各種手続き
②患者やスタッフへの対応
③カルテの管理
④医療機器の処分

ここでは上記のステップについて、どのような対応を取るべきか、ポイントを押さえて解説します。治療院の閉院には、開業と同様にエネルギーが必要です。事前準備を丁寧に行い、スムーズに閉院手続きを進めましょう。

1-1.各種手続き

治療院を閉院するときには、各種管轄の役所で閉所届や廃止届を申請することとなります。また、スタッフを雇用していた場合には、雇用に関する手続きが必要です。自分1人で運営していた場合でも、書類の申請は複数あります。

治療院の閉院に伴って役所へ申請するべき主要な届出は、下記の通りです。

申請内容 申請先
診療所廃止届保健所
エックス線廃止届保健所
退会届医師会
麻薬施用者業務廃止届都道府県
保健医療機関廃止届地方厚生局
生活保護法指定医療機関廃止届福祉事務所
個人事業廃止届都道府県税事務所/税務署
資格喪失届医師国民健康保険組合

また、スタッフの雇用に関する手続きには、下記の種類があります。

申請内容 申請先
労災保険確定保険料申告労働基準監督署
雇用保険適用事業所廃止届ハローワーク
雇用保険喪失届ハローワーク
雇用保険離職票ハローワーク
健康保険喪失届、健康保険証回収健康保険加入団体

治療院により個別に追加で申請が必要となるケースもあります。不明な点は各エリアの行政機関へと問い合わせましょう。また、税理士や社会保険労務士など専門家へ依頼することも、適切に手続きを進めるために有効な選択肢の1つです。

1-2.患者やスタッフへの対応

治療院を閉院するときには、役所や地域の機関への手続きに加え、来院してくれていた患者や勤務しているスタッフへの対応が必要です。

告知の時期は閉院の2~3ヶ月前までに行います。特に患者数の多い治療院は、早めの告知を心がけましょう。入院や通院している患者が他の病院を探したり、場合によっては病院の紹介を行ったりする期間が必要であるためです。また、未収の診察料がある患者がいる場合、未収金を回収するための時間ともなります。

スタッフにも事前に治療院の閉院を知らせておくべきです。同時に、退職による社会保険手続き、退職証明書の発行、退職金の支払いなど各種準備を進めます。

1-3.カルテの管理

治療院が閉院した後にも、カルテなど各種記録の保管義務は継続します。カルテの法定保存期限は5年間です。ただし、損害賠償請求権は10年間にわたり残るため、カルテは10年間保存しておくべきでしょう。

カルテの管理責任は、事業の継承形態により3つのケースに分かれます。

・管理者が生存しているケース(継承せず閉院)
・管理者が死亡しているケース
・別の医師が治療院を継承するケース

管理者が生存しているものの、医院は誰にも継承されず閉院しているケースでは、自分で引き続き管理しなければなりません。

一方、管理者が死亡しているケースでは、厚生労働省の通達によれば、カルテの管理責任は消滅し、行政機関へ移行することが適当とされています。ただ、実際には遺族と管轄保健所の相談を経て、管理者を決めることが一般的です。
また、患者からの損害賠償請求義務は、死亡した医師の相続人が引き継ぐため、遺族がカルテを管理すべきという考え方もあります。

治療院を別の医師に引き継いでいる場合は、現時点における管理者の死亡・生存を問わず、カルテの管理責任は継承者が引き継がなければなりません。

1-4.医療機器の処分

医療機器の処分は、閉院の形態で異なります。別の医師に治療院を引き継ぐ場合は、「どの医療機器を継承するか」「有償か無償か」について事前に継承先と相談しましょう。
リースしている機器については、リース会社との打ち合わせが必要です。さらに、継承先にリース契約の内容について、説明し同意を得る必要があります。

また完全に閉院する場合には、医療機器は売却か廃棄を選択しなければなりません。リースしている医療機器は、閉院するまでに料金を清算し、契約を満了させます。

2.治療院の閉院に伴い医療機器の処分はどこに依頼したらいい?

医療機器は、家庭用の粗大ごみでは処分できません。医療機器を家庭用粗大ゴミと一緒に処分すると、さまざまな感染症のリスクがあるためです。そのため、治療院で使用していた医療機器を勝手に捨ててしまうと、法律により罰せられる可能性があります。
したがって、医療機器を処分する場合は、医療機器専門の買取り業者や処分業者へ依頼しましょう。ここでは、各業者へ依頼する場合のポイントや注意点について解説します。

2-1.買取り業者

医療機器を処分する場合には、まず買取り業者への売却を検討しましょう。中古の医療機器は、国内だけではなく発展途上国にも需要があるため、年式の古い医療機器であっても売却することは不可能ではありません。医療機器を売却することで、閉院に要する費用を抑えることもできます。

CTやMRI、レントゲン装置などの画像診断機器から、心電計や血圧計などの小型医療機器、整体や鍼灸の用具まで、業者により買取り可能な医療機器はさまざまです。
年式の古いものであっても、それなりの金額となることもあります。複数の買取り業者から見積りをとり、納得できる売却価格の業者を探しましょう。

2-2.処分業者

買い手がつかない医療機器については、医療機器の廃棄を専門とする処分業者へ依頼しましょう。専門業者が安全・確実に医療機器の処分を行ってくれるため、後のトラブルに巻き込まれることもなく安心です。

処分する医療機器に大型の機器がある場合、処分には機器の解体や搬出作業も加わります。そのため、小型の医療機器から大型機器まで、解体・搬出作業も併せて行ってもらえる業者を選ぶと、処分に要する労力を軽減することが可能です。

治療院の閉院に伴って処分するものは、医療機器から備品までと多岐にわたります。処分業者へ依頼するときには、処分機器のリストを作成し、廃棄漏れがないよう努めてください。

3.治療院の閉院で不要な医療機器を高く買い取ってもらう方法

医療機器を高く買い取ってもらうためには、いくつかポイントがあります。

・機器の状態を良くすること
・まとめて売却すること
・複数業者に査定依頼を行うこと

医療機器の査定では、機器の状態により査定額が変化します。細かな汚れやホコリであれば、自分でクリーニングできるため、査定前に掃除しておくべきです。メンテナンスや付属品の有無も査定額へ影響するため、査定前に付属品がないか確認しておきましょう。

また、一度に多くの医療機器をまとめ売りすることにより、査定金額を増額してもらえる業者もあります。査定依頼時にまとめ売りが行えるか否かを業者に問い合わせましょう。

さらに、より有利な条件で医療機器を売却するためには、複数の業者へ査定依頼することがおすすめです。複数の業者が提示する査定価格を比較することで、より高い価格で売却できる業者を選べます。

まとめ

治療院を閉院するときには、多くの手続き・対応が必要です。保健所や税務署など各種行政機関への手続き、患者やスタッフへの対応、カルテの管理、そして使用していた医療機器の処分など多岐にわたります。

また、医療機器を適切に処分するためには、専門業者へ依頼しなければなりません。処分方法には、廃棄と売却の2通りがあります。治療院の閉院に要する費用を少しでも抑えるためには、まだ使用できる医療機器については、買取り業者への売却を検討しましょう。